アスベストQ&A

Answer

石綿(アスベスト)とロックウールの違いはなんですか?

ロックウールは日本名で「岩綿」と書くことがあるため、時折、アスベストと混同されることがありますが、全く別の物質です。

アスベスト【石綿〜いしわた、せきめん〜】

【特徴】

Photo天然に産出する「けい酸塩鉱物繊維」で、その中の6種類が一般的にアスベストと呼ばれおり、クリソタイル、アモサイト、クロシドライト、トレモライト、アクチノライト、アンソフィライトがある。
結晶質で、ロックウールに比べ数十〜数百倍細く(0.01〜0.1マイクロメートル、すなわち1mmの10万分の1から1万分の1)、呼吸器系に入りやすい。
国際がん研究機関でグループ1「発がん性あり」に該当(喫煙と同じグループ)。

【化学組成】

クリソタイルは主に酸化ケイ素と酸化マグネシウム。アモサイト、クロシドライトは主に酸化ケイ素と酸化鉄、トレモライト、アクチノライトはカルシウム・マグネシウム・鉄を含むケイ酸化合物。アンソフィライトはマグネシウム・鉄を含むケイ酸化合物。

【健康影響と基準値】

Photo じん肺の一種である石綿肺、肺がん、悪性中皮腫の症例あり。
・国の基準:0.15本/立方センチメートル
・学会評価値:0.15本/立方センチメートル(がんリスク1/1,000)

【法規制】

労働者/石綿障害予防規則
消費者/特になし

ロックウール【岩綿〜がんめん〜】

【特徴】

Photo 工場で製造された人工の鉱物繊維で、岩石が原料の場合「ロックウール」で、スラッグ(鉱さい)が原料の場合は「スラグウール」と呼ばれている。
非結晶(ガラス質)で、平均繊維径は3〜5マイクロメートルで呼吸器系に入りにくい。
国際がん研究機関でグループ3「発がん性に分類できない」に該当(お茶と同じグループ)。

【化学組成】

主に酸化ケイ素と酸化カルシウム

【健康影響と基準値】

Photo 多量吸入により、じん肺の可能性はあるがじん肺の症例はなし。
・国の基準:吸入性粉じんとして3mg/平方メートル
・学会評価値:許容濃度(皮膚刺激)1本/平方センチメートル

【法規制】

労働者/粉じん障害予防規則
消費者/特になし

Answer

どの年代に建てられた建築物にアスベストが多く使用されていますか?

1970年代(昭和45年頃)から1990年(平成2年)にかけて年間30万トンの大量の石綿が輸入されています。
この8割が建材として使用されているため、この間に建てられた建築物には石綿が使用されていると推測されます。

Answer

アスベスト対策工事を施工する際、作業員が必要な資格はありますか?

石綿が使われている建物の解体などの作業に従事できる作業員は、特別教育「安衛則第36条、石綿則第27条関係」を修了(石綿取扱い作業従事者特別教育修了)した者に限られております。
特別教育は、事業者に対して、石綿が使用されている建物の解体などに従事する労働者に以下の科目についての教育義務を課されています(合計4,5時間)。

【1】石綿の有害性について(0.5時間)

・石綿の性状
・石綿による疾病の病理及び症状
・喫煙の影響

【2】石綿などの使用状況について(1時間)

・石綿を含有する製品の種類及び用途
・事前調査の方法

【3】石綿などの粉じんの発散を抑制するための措置について(1時間)

・建築物、工作物又は船舶(鋼製の船舶に限る。)の解体などの作業方法
・湿潤化の方法
・作業場所の隔離方法
・その他の石綿などの粉じんの発散を抑制するための措置についての必要な事項

【4】保護具の使用方法について(1時間)

・保護具の種類、性能、使用方法及び管理

【5】その他の石綿などのばく露防止に関する必要な事項について(1時間)

・労働安全衛生法、労働安全衛生法施行令、労働安全衛生規則及び、石綿障害予防規則中の関係条項
・石綿などによる健康障害を防止するため当該業務について必要な事項

Photo事業者に代わって建築業労働災害防止協会などの機関で、特別教育を受講することもできます。また、石綿除去作業には、作業員を直接指揮、監督する「石綿作業主任者」の選任が必要となります。
石綿作業主任者は、石綿作業主任者技能講習を修了した者(または平成18年3月31日までに特定化学物質など作業主任者技能講習を修了した者)の中から事業者が選任します。

Answer

吹付け石綿が使用されている建物を解体する場合の法規制は?

石綿を取り扱う工事に係る関係法令には以下の法令があります。

【1】労働安全衛生法・石綿障害予防規則

吹付け石綿除去作業を行う場合は、作業開始14日までに所轄労働基準監督署長へ「建設工事計画届」を提出する。その他に石綿作業主任者の選任、石綿含有建築物解体工事の従事者に対する教育などが必要となる。

【2】大気汚染防止法

吹付け石綿、または石綿を含有する断熱材、保温材及び耐火被覆材の使用されている建築物などを解体する作業を行う場合、作業開始14日前までに都道府県知事または市長へ「特定粉じん排出など作業実施届出書」を提出する。その他、作業基準の遵守などがある。

【3】廃棄物処理法(廃棄物の処理及び清掃に関する法律)

「特別管理産業廃棄物管理責任者」を選任する。その他、廃石綿などの処理がある。

【4】建築リサイクル法(建設工事に係る資材の再資源化などに関する法律)

延べ床面積の合計が80平方メートル以上の建築物の解体工事を行う場合、工事着手7日前までに都道府県知事宛に届出を行う。その他、特定建設資材の再資源化のための分別解体などがある。

Answer

アスベスト全般について詳しく知りたい場合は、どんなところに聞けば良いですか?

アスベストに詳しい団体、行政機関は以下の通りです。

作業にかかる安全衛生全般について

・建設業労働災害防止協会 電話03-3453-8201

その他、石綿取り扱い作業時の対策について(主な団体や行政機関)

【石綿全般】

・一般社団法人 JATI協会 電話03-5765-2381
http://www.jati.or.jp/

【測定関係】

・社団法人 日本作業環境測定協会 電話03-3456-0443
http://www.jawe.or.jp/

【廃棄物処理関係】

・社団法人 日本産業廃棄物処理振興センター 電話03-3668-6511
http://www.jwnet.or.jp/

【保護具関係】

・社団法人 日本保安用品協会 電話03-5804-3125
http://www.jsaa.or.jp/

【建築技術関係】

・財団法人 日本建築センター 電話03-3434-7161
http://www.bcj.or.jp/

【厚生労働省】

・石綿についてのQ&A、労災認定事業場のリスト、健康相談関連情報など
http://www.mhlw.go.jp/

【環境省】

・石綿使用についての規則や飛散防止対策、廃棄物処理方法など
http://www.env.go.jp/

【経済産業省】

・企業での石綿の使用状況や、代替製品の検討についての情報
http://www.meti.go.jp/

【国土交通省】

・建設業、運輸関連業、造船業における石綿被害の状況など
http://www.mlit.go.jp/

【文部科学省】

・学校施設などにおける石綿使用状況など
http://www.mext.go.jp/

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